SSになりそこなった落書き
admin≫
2008/03/28 19:53:07
2008/03/28 19:53:07
ひらり、微かに紅を帯びた白い欠片が空を舞う。
ひらり、桜が散る。
「………」
春。
地上には、満開の桜。
地下深くには、桜一枝無造作に折り取ってきた花盗人が一人。
「何処から取ってきたの」
雲雀は眉間に皺を寄せる。
「あー、……並中んとこ?」
お前に土産、と獄寺が笑う。
「器物破損」
罪状決定、と雲雀がトンファー両手に獄寺に向っていく。
「……っ」
ひらり、と獄寺が身をかわす。
むかつく。
彼は、また反応速度を上げた。
おかげで、雲雀の一発目がきまる率はどんどん下がっていく一方だ。
高速で回転するトンファーの巻き起こす風に煽られて、また一片花びらが宙に舞う。
「イイ顔」
ひどく愉しげに、獄寺が笑う。
血が、騒ぐ。
日本人の心を、浮き立たせる白い花は。
雲雀の闘争心を、駆り立てる。
遠い、あの日の、敗北以来。
「花見、行くか?」
不治の病は、今も、雲雀の身の内に存在するけれど。
たぶん、もう。
無様に膝をつくことはない。
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